8月31日(火)、こうちネクストコラボプロジェクトの”新事業創出フォーラム”を開催しました。
今回のフォーラムのテーマは、”高知の食産業のネクストステージ”。
県内事業者とスタートアップ企業のコラボレーションにより、高知の食産業をどのようにアップデートしていくかを探る3時間となりました。
そこで、フォーラムの内容を、基調講演と2つのトークセッションの3回に分けてレポートします!
基調講演:有限会社ひろめカンパニー代表取締役社長 大西直人氏
県内屈指の観光スポットであり、誰もが知る、ひろめ市場。
基調講演では運営会社である有限会社ひろめカンパニーの代表取締役社長である大西様にご登壇いただき、
●ひろめ市場が人気スポットであり続けられる理由
●日頃から気をつけていること
●今後の展開について
をお話しいただきました。
ひろめ市場が人気スポットであり続けられる理由
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高知県民はお酒が好きで、おもてなし精神があり、人と打ち解けるのが(とても)早いので、場内ではお店の人の接客だけでなく、地元の人による「あれ食べた?」「これ食べや」といった”おもてなし”が至る所でなされています。”県民自体がホスト”になっていることがひろめ市場の一番の特徴だ、と大西社長。
また、立地的にも学校や官公庁、オフィス街もあり、観光のメッカである高知城も近くにあり、こんな立地条件は他にはありません!
それに加えてひろめ市場が成功した理由は、”よそ者” ”馬鹿者” ”帰って来た者”の3つの条件が揃ったからだ、と大西社長は分析します。
よそ者はその土地の価値を再発見し、馬鹿者はこれまでの既存の考え方ではなくダイナミックな構想や、その場に昔からいたりその道のプロでは逆に出てこないような発想をする、帰ってきた者は国内外のいろんなものを見聞きし、それを地元でどう展開できるか、を考える。この3つのどれかの要素を持つ人が集うことで、グッとその場の価値を上げることができるそうです。
日頃から気をつけていること
次に、大西社長が日頃から気をつけていることをお聞きすると、”観光客も大事だが、地元客を大事にすること”が重要なポイントだと話されました。
高知はNHK大河ドラマ(龍馬伝)の影響で観光客が増えた時期もあったけれど、ブームが過ぎれば来なくなり、ひろめ市場であっても安定的な運営はなかなか難しい。地元の人を愛し、地元の人に利用していただき支えられる、という構図を大切にし、日常的に使って頂ける場にすることが、結果的に観光客の呼び込みにつながっていると分析されていました。
今後の展開
大西社長は実は徳島県出身です。高知のお隣の県ですが、食文化は大きく違うところがあります。例えば、高知でよく食べられているイタドリ。大西社長の故郷ではあまり食されていなかったそうですが、高知では上手に料理して食卓を彩っています。高知には、海・山・川などからもたらされる豊富な食材があり、それを磨く力がある。地元の人が愛する食材を提供し、地元の人に常連になってもらい、結果として、高知らしいスポットとして観光客にも集ってもらえる場所を目指して今後も運営していきたい、と語っていただきました。
【ナビゲーターから一言】
ひろめ市場は、高知の様々な情報が集まる場所です。「ひろめ市場」という物理的な場所に、賑わいの中心としてのテナントやそれを支える従業員の方がいて、おきゃく文化と呼ばれるおもてなし精神で、客同士がそれぞれを盛り上げる、という独特の関係性が存在しています。
そこに集う人の互恵関係がひろめ市場にはあり、あたかも森の生態系のように育ち、育てられる関係性が構築されていると感じました。
こうちネクストコラボプロジェクトの目的は新事業創出ですが、オープンイノベーションと呼ばれるずいぶん前から、その一端が高知には存在しているような気がします。
地元客を大切にし、高知の日常を体現する場所(環境)を作り続けることで、他との差別化を生み出し、結果、観光客に選ばれる人気スポットになっているという大西社長のお話から、改めて競争力の源泉は身近な所に存在し、それに気づいて磨き上げることが重要なのだと感じました。
(文責:株式会社ゼロワンブースター 杉田)