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2021年10月15日

新事業創造フォーラムレポート第3段!Session2”食の場を活用する”

 トークセッション2では『“食”の場を活用する』をテーマに、県内からは高知市内で土佐料理のお店、土佐っ子を展開する(株)土佐っ子の若女将 島井貴久子さんに、スタートアップ企業からはホテルや旅館の客室を地域のショールームにする、cocodakeを展開するあめつちデザイン(株)の代表取締役社長兼CEO 霜竹弘一さんにご登壇いただきました。

 ここでは、コロナ禍における事業の見直しや、顧客との新しい接点をどう創っていけば良いか、また、空間としての食事の『場』の活用方法の可能性についてディスカッションしました。

顧客が求めていること

 まずは霜竹さんに、あめつちデザインが提供している『新しい顧客体験』についてお話を聞きました。

 あめつちデザインは、地域創生を目的として地域のツーリズムデザインを手がけ、地域の方が継続的に、また能動的に収益を上げられるような仕組みを構築されています。その中でも特に、旅館やホテルといった滞在場所を体験の空間として活用し、その場でしか手に入らないような工芸品や農産物、地酒といったその土地のものを実際に見て、触って、使ってもらい、良さを実感していただいたうえでその場で購入できる(商品は別送)体験コマースサービスのcocodakeを提供しています。

 あめつちデザインの事業のキーワードは『19時間』。この時間は、観光客の旅館やホテルでのチェックインからチェックアウトまでの滞在時間です。みなさん意外と長い時間、宿泊施設にいるんです。ここに着目した理由は、『旅行のテンションが一番高くなっている時間帯』だからとのこと。あめつちデザインは『旅行先を楽しみたい!』というアンテナが一番立っている『旅中』の時間帯を活用し、顧客との新しい接点としてホテルや旅館の客室を活用することを提案しています。(詳しい説明は本編をご視聴ください!)

 旅館やホテルに滞在するのは県外客が多い一方で、飲食店は県内の人も利用します。島井さんは、「観光客と地元客でテンションの上がるポイントが全く異なり、それぞれに向けて工夫しています」と話されます。

 また、「観光客の方は高知のことをすごく調べていて、明確な“食”に対する思いを持っている。例えば坂本龍馬が愛したシャモ鍋が食べたい!など。この欲求が満たされたところが一番上がるポイント」と島井さんは分析します。純粋に美味しくて、これまで食べたことがないものに巡り会えた時もテンションが上がるポイントだそうです。これに対して県内の人は、サービスの良さや入店から会計までがスムーズであったり、希望に応えてくれる(融通が利く)という点を重視されるようです。また、ホスト(招待する側)に「土佐っ子を選んで良かった」と感じていただけるかもポイントだと島井さんは考えられています。

“食”の場の活用

 このような顧客が求めていることに応えつつ、“食”の場の活用を考える中で、島井さんから霜竹さんに土佐っ子の空間利用の可能性について質問がありました。

 土佐っ子は7階建てのビルです。このうち3階までを土佐っ子の店舗として利用しており、2階・3階は広い個室がそれぞれ数室あります。特に3階は、2部屋つなげると50~60人程度で使える広間になります。「この空間を活用し、顧客との新しい接点がつくれないでしょうか?」と島井さん。

 すると、霜竹さんから、「ここ(のスペース)に、五感全てで感じられるコトやモノを配置できたらより素晴らしい空間になりそう。」とのご意見が。「食材の由来や料理がどのように出来上がっていくのか、また、食材の良さや、野菜などがどのように作られたり収穫されているのかが見えたり、料理人の思いが伝えられるようなコンテンツを見ていただくサービスはどうか。パネルなどで“食”のミュージアムのように食べられるまでの過程をデジタルでより詳しく見られるような、『食べる』+『知る』+『感じる』が全てできる空間になれば面白いと思う」と提案がありました。

 島井さんも、「“食”のストーリーを伝えるということは重要ポイントだと思う」と同意。食材や料理を愛おしく感じてもらえるような伝え方を探っていきたいと話されました。

 また、テンションが一番高くなっているタイミングに合わせて、より気持ちが高まるような演出ができれば良いのでは、とのご意見も。食材の紹介だけでなく、実際にお客さまに食べて感じていただけるというのが飲食店の最大の強みです。これを活かして、今ある資産と新しいテクノロジーを掛け合わせて顧客との新しい接点を見つけていくことができれば“食”の場のさらなる可能性が見えてきそうです。

ナビゲーターより一言
 お客さまが求めているものやそれぞれの感情の変化に合わせたサービスづくり、また、地域やそのお店の魅力の伝え方について、多面的な視点でお話を伺うことができました。自社だけでなく異業種の方などとアイデアを出し合うことによって、新しい食の場の可能性を考えられるディスカッションになりました。
(文責:株式会社ゼロワンブースター 杉田)